限界突破!ドラゴンボールへの愛×次世代機で実現した『ドラゴンボールZ バーストリミット』インタビュー
6月5日にPLAYSTATION3とXbox360で発売された『ドラゴンボールZ バーストリミット』は、初の次世代ゲーム機でリリースされるドラゴンボールであり、ファンにとっては待望の全世界を相手にしてのオンライン対戦が可能となった作品でした。ゲーム開発現場の裏側を追う「DEVELOPER'S TALK」では、バンダイナムコゲームスやゲームを制作したディンプスのスタッフの皆様にお話を伺いました。次世代機での開発やミドルウェアの活用、社内ライブラリとの融和など興味深い話が飛び出しています。是非最後までお楽しみください。
参加者
三戸 亮
バンダイナムコゲームス 第1プロダクション 第1課 アシスタントマネージャー
シリーズ全体の統括を担当。
波間 貴史
バンダイナムコゲームス CSカンパニー CSマーケティング戦略部 プロダクションサポート課
プロデューサーとして三戸氏と共にゲームを指揮
冨澤 茂樹
バンダイナムコゲームス コンテンツ制作本部 制作統括デビジョン 制作部 技術サポート課 アシスタントマネージャー
バンダイナムコゲームスの社内ライブラリを統括。本作を裏で支える。
藤本 裕
ディンプス 開発本部 第一開発部 企画課 課長
開発面での統括を担当。
青木 大祐
ディンプス 開発本部 第一開発部 企画課 主任
開発のディレクションに加え、ストーリーなどを担当。
後藤 修一
ディンプス 開発本部 ソフトウェア技術部 ソフトウェア技術課 サブリーダー
エンジニア。バトル部分やゲーム以外の環境部分などを当。
加茂 浩志
ディンプス 開発本部 サウンド開発部 サウンド課 リーダー
サウンド担当。今作では主にBGMを担当。
大島 弘康
ディンプス 開発本部 サウンド開発部 サウンド課
サウンドを担当。セリフも、台本から収録まで手がける。
―――まずは『ドラゴンボールZ バーストリミット』の概要を聞かせてください
三戸: PS3、Xbox360という次世代ゲーム機で初めての「ドラゴンボール」シリーズです。構想から数えると3年半、スタッフの期待も高くて、「あれもやりたい、これもやりたい」というところからスタートした企画です。特にPS3開発の初期は情報がかなり少ない状態で、いかにして次世代感を出すか、という部分で試行錯誤を重ねてきました。
なかでもビジュアル面にはこだわりました。次世代機のスペックにモノを言わせて悟空を生身の人間のようにリアルに描いたバージョンなども作ってみたりしましたが、最終的には、現在のような漫画ともアニメとも異なる、本作ならではの描写に落ち着きました。ゲーム面でもバトルシステムはこれまでの究極型を目指しました。そして一つの命題でもあったオンラインでの対戦を両機種で実現することができました。
藤本: PS3とXbox360という次世代機、内容は大ボリュームで、ハイデフィニションの映像、そしてワールドワイドに向けた作品、といった大規模な開発の中で、内部的なミッションの1つとして掲げたのは「ゲームとアニメの融合」です。かんたんに言うと、ゲームで劇場版アニメ並みの「ドラゴンボール」に触れることができる、その中で実際に戦うことができるということです。アニメ自体はもう随分前に終わってしまいましたが、「今、作るならどんなものがよいか?」ということも意識しながらゲームを作っていきました。
―――ストーリーについて教えてください。
青木: 今回のストーリーの流れとしては、地球にサイヤ人が攻めてくる「サイヤ人編」と呼ばれているところから、セルや人造人間が出てくる「セル編」の悟空から悟飯への親子の世代交代という重要なシーンまでをストーリーラインとして凝縮しています。過去のタイトルの中ではPS2版『ドラゴンボールZ』に近い流れです。記憶に残る名セリフや印象的な名シーンが非常に多いストーリーラインですので、それらを我々は「ドラマ」と呼んでいますが、その制作にはかなりの神経を注ぎました。当時のアニメを見て研究して、これを現代の技術で作るとすればどうだろうということを常に考えて、こだわって作りました。
やはり開発中も原作を読むわけですが、そうすると開発がどうしても止まります(笑)。読み出すと、どっぷりとストーリーにのめりこんでしまう魅力があるわけです。悟空とフリーザの激闘のシーンは見るたびにグッとくるものがあって…。クリリンを殺された悟空の悔しさが伝わってきます。開発中は何度も原作を見ているので、改めてゲームとして作られたシーンを見ると、再び熱いものがこみ上げてきますね。
―――本当に「ドラゴンボール」が好きな人が集まっているという感じですね
青木: そうですね。私も含めて長いスタッフだと第一作目から今作までずっと付き合っているスタッフもいて、彼らも皆ドラゴンボールが大好きですね。当然、好きなキャラクターや好きなエピソードはそれぞれですが、皆が愛情を持って接しているというのが本当にいい結果に結びついていると思います。
藤本: ディンプスの場合、新しいスタッフが入ってくると、サイヤ人の血を輸血するという作業がありまして…(笑)。「ドラゴンボール」をみっちり体に叩き込みます。それは大抵1ヶ月くらいはかかるんです(笑)
青木: トランクスが持っている剣はタピオンの剣だとか、ナメック星に生えているのはアジッサという植物だとか、そういったところもかなり分からないと駄目という、ドラゴンボール風にいうと「戦闘力の高い」仕事なんです(笑)。
―――今回の『ドラゴンボールZ バーストリミット』で、前作から変わった点や工夫された点はありますか?
三戸:大きなところで言えば、バトル中にさまざまな条件によってドラマシーンが発生する「ドラマピース」システムがあります。「ドラマピース」には、原作を再現したドラマシーンもあればゲームだけのシチュエーションのものも存在します。また、発生することでバトルに影響する様々な効果をもたらします。このシステムは原作における、バトル中にも会話がどんどん発生するドラゴンボールZならではのバトルを再現するために今作に入れました。
―――次世代機となり、サウンドは5.1chに標準対応していると思いますが、どのような点に気をつけましたか?
加茂: 5.1chをふんだんに使うというよりも、どれだけサラウンドを意識させずにサラウンドを使うか、という部分に気を遣いました。主要な音は基本的にフロントから出すようにしており、音を分散させすぎず、ゲームに集中できるように配慮しました。また、環境音やBGMはサラウンドで、まるでプレイヤーがゲームの空間にいるような臨場感を演出しています。
■開発の形態について
―――今回の開発の規模はどのくらいだったのでしょうか?
藤本: 基本的には常駐スタッフというところで30〜40名いまして、ピーク時は色々な協力をいただきながら70〜80名、バンダイナムコゲームスさん側のスタッフも含めると100名規模くらいでしょうか。 構想から考えると3年半、企画としてまとまって三戸さんからGOがかかってから2年くらいです。
―――マルチプラットフォーム対応タイトルですが、どのように開発は進められたのですか?
藤本: 序盤はどうしてもXbox360の方が経験が長いので、Xbox360でまず作っていって、それをPS3で動かしていくという流れです。当然、それぞれのハードで、技術面やハード固有の規定の調整など、色々と手直ししなければならない部分がありました。
青木: 一番大きかったのはネットワークまわりですね。このあたりはハードの根本の部分でもありますし、調整1つでもそれぞれのハードできっちりやらなければならないので、ここは開発をPS3とXbox360とに完全に切り分けました。メッセージ表記などでもハードごとに異なる部分はありましたね。ムービーやイラストといったデザイナー作業の部分は同じリソースを使い省力化を心がけました。
■内部開発ライブラリと外部ミドルウェアの組み合わせ
―――非常に大きな規模で開発されて、世界同時発売となると、納期も厳しいですよね。社内のリソースに頼る部分とミドルウェアなどの社外リソースに頼る部分にしっかりと切り分けていく必要があると思いますが・・・。
藤本: おっしゃる通りです。綱渡りで完成したゲーム開発でしたが、ゲームプレイの核の部分は過去の開発で引き継いできたものも含めて自社内でやるという決定をしました。2つのハード対応という部分は、最初は自社で頑張ったのですが、なかなか苦戦したため、バンダイナムコゲームスさんの社内ライブラリを提供していただきました。まさに、その瞬間から2ハード同時開発というのが動き出したという印象でした。
内容も大ボリュームでしたから、音声や映像の点では最初からCRIさんの力を借りるしかないという前提で動いていました。
加茂: 実は2ハード同時開発というところで構想の段階からミドルウェアはCRIさんのものを使いたいという話をさせていただいていました。PS2の時代からADXを利用していましたし、CRIさんのミドルウェアを使うことに迷いはありませんでした。
■バンダイナムコゲームスの社内ライブラリが果たした役目
―――バンダイナムコゲームスさんの社内ライブラリはどのような設計思想で作られているものなのでしょうか?
冨澤: ハード毎の違いを意識せずに開発できるように作られたもので、PS2、Xbox、GCという3つのハードがあった2001年頃から歴史があります。元々、ナムコの中で使っていたものが、バンダイナムコゲームスとなったことで、今回のこういう縁となりました。
この社内ライブラリの設計思想として一つあるのは、現場のプログラマーにあまり干渉しないということです。今作でもグラフィックの根幹の部分にはこの社内ライブラリを利用していただいていますが、ゲームのフレームワークのような大枠の部分では、ディンプスさんがこれまで独自に培ってきた技術を使われたという形です。社内ライブラリと開発現場の技術を上手く線引きすることが重要だと思っています。
後藤: ミドルウェアによっては、開発のワークフロー自体をそのミドルウェアの色に染めないと使えないものもありますよね。「ゲームのフレームワークまで全てミドルウェアでやります」、となると今までの資産が使えなくなってしまいます。その点、バンダイナムコゲームスさんの社内ライブラリにしてもCRIさんのミドルウェアにしても、機能として独立して使える形になっているので非常に使いやすかったです。
■「ドラゴンボール」と共に歩んできたCRIWARE―7年&11作目は信頼の証
―――「ドラゴンボール」シリーズでは『ドラゴンボールZ Sparking!』を含めて11タイトルにADXを使っていただいていますが・・・。
三戸: 今はバンダイナムコゲームスという形になりましたが、「ドラゴンボール」はずっとバンダイが作ってきたタイトルで、バンダイは基本的に内製の開発ラインというのは無い会社なんです。ですので、色々なソフト会社さんと一緒に仕事をする機会が多くて、「Z」シリーズであればディンプスさん、「Sparking!」シリーズであればスパイクさんと一緒に作ってきました。その中で開発会社さんから「ADXを使いたい!」という強い要望をいただくことが多いですね。もちろん自社で努力すれば技術の蓄積にもなると思うのですが、それよりもADXやSofdecのような信頼できるミドルウェアを使った方が確実に効率的な開発ができると思っています。
三戸: また、「ドラゴンボール」をはじめとする当社のキャラクターもののタイトルに関してはスケジュールがきっちり立てられて進行しています。「ドラゴンボール」シリーズも年間に数種類のタイトルが出ますので、スケジュールを厳守するのが大原則です。そういう意味でも、効率的に作業が出来て工数も見えやすくなるので、ミドルウェアは積極的に取り入れることにしています。
藤本: ハードがどんどん進化し、複数のタスクを同時並行的に行わなければいけない、という時にADXの存在は大きいです。例えばBGMが鳴っているところにボイスが鳴って、そこに映像を出して、これらを同時に裏で処理する…、そういうとても大変な部分がファイルシステムとして集約されているような気がします。恐らく他のメーカーさんからもそういう複数の処理を同時にこなす「阿修羅的な」ソフトは出てくるのかもしれませんが、CRIさんのミドルウェアには一日の長があると思いますね。当社のようなデベロッパーはコンテンツ開発がメインとなりますので、重要な技術部分の開発負荷というのはどうしても重くなってしまいますからね。
―――ミドルウェアを利用して逆に不満に感じた点などはありますか?
加茂: 今回は「ドラマ」と呼ばれるシーンを400ほど作ったのですが、その一つ一つに音付けや音量調整をかけるのが非常に大変だったので、複数人で作業を分担しました。その際に、個々の開発環境をミドルウェアに合わせて同じものに揃える必要がありました。
青木: 次世代機は開発規模が大きくなってきていますから、たとえ、ツールを使ったとしても一人でできる作業には限界があります。今まさに作業をシェアすることや、環境に依存せず使えるといったことが求められてくるのではないでしょうか。更にシェアして作業した場合に問題として挙がることは、一人一人のクオリティの差ですね。そういう部分をコントロールできるツールやアプリケーションの必要性を感じています。また、機能的に向上するというよりは、ツールの使いやすさや手触りといったツール自体のユーザビリティの向上が今後求められてくると思います。
―――ツールやミドルウェアも一人で使う時代ではなくなってきているということですね。大規模開発のための作業のシェアリングを前提としたユーザビリティの確保を今後の課題として対応していきたいと思います
―――次に、具体的にCRIWAREをどの箇所に使われたのか教えてください。
藤本: 「Sofdec」はオープニングムービーとエンディングムービー、それからメニュー画面でのムービー再生に使っています。特にメニュー画面では、ムービーにα値(透過情報)を持たせて再生する「αムービー」という手法を使って、少し変わった演出をしています。ゲームをプレイされるときにぜひ注意深く見てもらいたいですね。
―――「ADX」と「CRI Audio」はどのように使われましたか?
加茂: 「ADX」はファイルシステムとして使いました。5.1chサラウンドを実現するためにも活用しています。また、SEやボイスデータの作成には「CRI Audio」を使っています。
―――「AISAC(※)」は使われたのでしょうか?
※AISAC・・・「CRI Audio」に搭載されている、ゲームプレイヤーの操作によってリアルタイムに変化するインタラクティブサウンドを実現するためのコンポーネント。
大島: 例えば、悟空などキャラによって変身した時に声が変わります。この部分に「AISAC」を利用しています。また、パンチを出す際のボイスに差を付けたりするためなどにも使っています。技が当たる「バシバシッ」というような音にもAISACによってわずかにランダムピッチや位置移動を設定することで、微妙な変化を付けています。これを人の手でやろうとすると大変ですが、「CRI Audio」で効果的な演出ができました。
AISACでバトルの臨場感をアップ
■「Clipper」で作った口パクはリアル過ぎて使えず!?
藤本: 実は「Clipper(※)」も使わせていただいたんです。
※Clipper…音声データを解析して、口の形状(口パターン)を自動的にデータ化するシステム
加茂: 元々の作品はご存知のようにアニメですから、「Clipper」を使ってリップシンクを行おうと思いましたが、音声解析の精度が良過ぎて、「Clipper」が出力したデータをリダクションする必要がありました。あまりにもリアルに口が動きすぎて、かえってアニメらしくない(笑)。精度を悪くしてくれというのも変なお願いですが…(笑)。
―――リダクションというと実際にはどのような作業を行ったのでしょうか?
加茂: 「Clipper」によって出力されたデータを上手く間引く作業です。例えば「あいうえお」というのを「あーうーお」にしてみたりといったことを行いました。
青木: これが写実的なモデルであれば全く問題はないのでしょうが、アニメ調のグラフィックでここまで動くとどうしても気持ち悪くなってしまいます(笑)。「Clipper」にアニメ的な表現をするためのオプションがあると、我々としては有り難いですね。どれだけ要望があるかどうか分からないですが。
後藤: もともと人の口じゃない人(?)もいますからね…サイバイマンとか(一同笑)。
■全世界でのオンライン対戦を実現した苦労
―――今回オンラインでの全世界対戦に対応されましたね
三戸: やはり「ドラゴンボール」という、全世界で人気のある稀有なシリーズですから、ぜひ実現したい部分でした。日本でも当然そうですがヨーロッパやアメリカでは、ともすると日本以上に人気がありますので。2つのハードで世界で同時期に発売というのは、非常に難しいことでした。アメリカで「ゴクー、ゴクー」と言っているファンと日本で「悟空」と言っているファン同士がオンラインで対決できるというのは、本当に夢のようなシチュエーションだと思います。
波間: デバッグも大変でしたね。日本と北米、日本と欧州、北米と欧州…という風に回線を用意してもらって、リアルタイムに「今変身した?」とか電話で会話しながら(笑)。時差があったのでそういうことを朝7時からやっていました。
■今後の抱負
―――今後挑戦してみたい企画や取り組みなどがあれば聞かせてください
三戸: 「ドラゴンボール」という作品は原作もアニメもずいぶん前に終了しています。それにも関わらず、日本でも欧米でも、新しいファンが増えています。10代も20代も30代も皆が「自分はドラゴンボール世代」と思っている稀な作品です。当然面白いエピソードは数限りなくありますので、それぞれの良さを活かしながらゲームにしていけたらと思っています。
藤本: 次世代機でのチャレンジということで非常に勉強になりました。とはいえ、作るだけで精一杯というところもありましたので、次回作では今回の経験を活かしながら、CRIさんとも更に密にやらせていきながら、もっともっと良いゲームを作っていけるように努力したいですね。今作はバトルゲームでしたが、それ以外のベクトルでも考え得る作品だと思っていますので、次世代機のポテンシャルを活かしてそれを表現することができればと思っています。
青木: 企画職の立場から言うと、『バーストリミット』でやり残したことは沢山あるのでそこに取り組んでいきたいと思っています。何か新しいことをやるためにはデザイナーやエンジニアに「できる」と言わせないといけないわけで、それを実現するためのミドルウェアやツールや環境が不可欠です。彼らが仕事をしやすくなれば、私としてもワガママが言いやすいので(笑)。そういった意味では、野望を叶える環境は整いつつあると感じています。
後藤:新しいゲーム性の部分では頑張っていきたいと思います。
加茂: やはり子供の寝顔しか見られない生活から脱却したいというのが一番ですね(笑)。とにかく時間をかければその分だけ素晴らしい物は作れると思うんです。ただ、時間は有限で、その意味でCRIさんのミドルウェアやツールは、目標のクオリティに最短距離で近づくために無くてはならない物だと思っています。単純作業に追われていると、その分だけクリエイティブな部分に割ける時間は減りますから。今後も色々な手助けを受けながら、面白いと思って貰えるものを提示し続けたいと思います。
大島: 省力化できる部分は省力化して、ちゃんと時間をかけなくてはいけない部分に時間をかけるような使い方ができればと思っています。
―――他のゲーム開発者の方に一言コメントをお願いします。
大島: このクオリティを超えられるものなら超えてみろ!ということで(笑)。
加茂: 大作主義、リアル主義が主流になっている中で、僕たちはそれとは少し変わった方向にパワーを入れて頑張ってみました。こういう方向もアリなのか、どういう受けとめ方をされるのか楽しみにしたいと思います。
後藤: ゲーム業界自体を盛り上げていきたいということですかね。ゲームの開発現場は今どこも大変になってきていると思います。お互いに任せられる部分は任せて、自分たちの強みを活かして、それぞれの役割をしっかり持っていけば絶対にいい物が出来ると思っています。広い視野で、別の会社だからとかではなくて、どんどん協力していくという姿勢が大事かなと思っています。
青木: 我々と同じように苦しんでいるチームは沢山あるはずだと思います。この先何年も同じ苦しみを毎度毎度続けていくのか、それとも開発体制に変化をつけていくのかということだと思います。辛いことに毎回コストを払うのは馬鹿らしいことなので、海外でも採用されている開発体制の手法などを参考にするという動きも広がればいいな、というのはあります。
藤本: 次世代機でリアルな表現ができるようになってきて、対象年齢が高いゲームが増えている中で、初めてと言ってもいいくらいの非常にカジュアルなゲームじゃないかと思っています。これがマーケットを広げるきっかけになって、他社さんもどんどんソフトを出してくれるようになれば、もっともっとマーケットも活性化していくと思うので、我々としても頑張ってアピールしていきたいと思います。
波間: マルチプラットフォームで全世界同時発売というのは大変でしたが、今後のゲーム業界では避けて通れない道だとも思います。辛いですけど、世界中のユーザーがほぼ同時に通信対戦ができるというのはとても魅力的なことでもありますので、恐れずチャレンジしていって欲しいですね。
三戸: 藤本さんも先ほど言われましたが、なかなかない毛色の違った作品になっていると思います。なので、キャラクターゲームということで敬遠せずに、ちょっとどんなもんだろうと遊んでみて欲しいですね。
冨澤: 社内ライブラリの開発担当として言わせていただきますと、当社は他社さんと違ってあまり社内技術の存在をアピールしてはいませんが、実はバンダイナムコゲームス、結構できるぞ、というものを実現していきたいと思っています(笑)。
―――最後にゲームを楽しみにしているユーザーさんに
大島: 今回のタイトルは物量も質も自信を持っています。音楽もボリュームを大きくして聴いてみて欲しいですし、声優さんにもとても頑張っていただいたので、ドラゴンボールらしさは表現できていると思います。存分に楽しんで貰いたいと思います。
加茂: 10歳に満たない子どもさんから30代まで、全てのドラゴンボール世代の方に一緒に楽しんで貰える作品になっているはずなので、ぜひ皆さん1枚と言わず、2枚3枚とお買い上げいただけるとありがたいかなと思います(笑)。
後藤: バトルの部分ですが、悟空は接近攻撃、クリリンは遠距離攻撃の頻度が高く、ギニューはピンチになるとボディチェンジ確率が急上昇する……といった、キャラクターの性格付けをかなり細かく設定しました。
がむしゃらにプレイしているだけだとなかなか気付きにくいかもしれませんが、細部までドラゴンボール好きがこだわって作った作品です。そういう部分も楽しんで貰えればと思います。
それから最高難易度にぜひ挑戦してみて欲しいですね。COMとの激闘の中で、オンライン対戦で勝つためのコツが閃くかも知れませんよ。
青木: 今回は色々と開発で大変だった点などを話しましたが、ドラゴンボールを楽しみたいと考えている全ての人の期待に応えようとした結果でもあります。プラットフォームはどちらでも構いませんので、たくさんの方々にぜひ楽しんで欲しいと思います。
藤本: タイトルの「バーストリミット」は「限界突破」という意味で、その精神で作ったゲームです。世界同時発売ですので、初めて本当の意味での「天下一武道会」が開かれると思います。ぜひ世界のプレイヤーと一緒になって遊んで欲しいですね。
波間: 非常に多くのスタッフで、かなり苦労して作ったゲームです。出来には自信がありますので、是非楽しんで下さい。
三戸: 今回はかなりの時間をかけた作品ですし、これまでの話から分かるように、かなりスタッフが熱を入れて作ったゲームです。ドラゴンボールのバトルやドラマを集約したものです。バトルに慣れない人はガチャプレイもできますし、プレイしていくと実は奥深い部分も体験することができると思います。ドラゴンボールという世界の中で、その世界を満喫しながら、ドラゴンボールらしい楽しくて熱いバトルができるように力を入れて作り、実現できたと思います。是非キャラクターになりきって楽しんで欲しいですね。
―――ありがとうございました!
株式会社CRI・ミドルウェア
http://www.cri-mw.co.jp/
参加者
三戸 亮
バンダイナムコゲームス 第1プロダクション 第1課 アシスタントマネージャー
シリーズ全体の統括を担当。
波間 貴史
バンダイナムコゲームス CSカンパニー CSマーケティング戦略部 プロダクションサポート課
プロデューサーとして三戸氏と共にゲームを指揮
冨澤 茂樹
バンダイナムコゲームス コンテンツ制作本部 制作統括デビジョン 制作部 技術サポート課 アシスタントマネージャー
バンダイナムコゲームスの社内ライブラリを統括。本作を裏で支える。
藤本 裕
ディンプス 開発本部 第一開発部 企画課 課長
開発面での統括を担当。
青木 大祐
ディンプス 開発本部 第一開発部 企画課 主任
開発のディレクションに加え、ストーリーなどを担当。
後藤 修一
ディンプス 開発本部 ソフトウェア技術部 ソフトウェア技術課 サブリーダー
エンジニア。バトル部分やゲーム以外の環境部分などを当。
加茂 浩志
ディンプス 開発本部 サウンド開発部 サウンド課 リーダー
サウンド担当。今作では主にBGMを担当。
大島 弘康
ディンプス 開発本部 サウンド開発部 サウンド課
サウンドを担当。セリフも、台本から収録まで手がける。
―――まずは『ドラゴンボールZ バーストリミット』の概要を聞かせてください
三戸: PS3、Xbox360という次世代ゲーム機で初めての「ドラゴンボール」シリーズです。構想から数えると3年半、スタッフの期待も高くて、「あれもやりたい、これもやりたい」というところからスタートした企画です。特にPS3開発の初期は情報がかなり少ない状態で、いかにして次世代感を出すか、という部分で試行錯誤を重ねてきました。
なかでもビジュアル面にはこだわりました。次世代機のスペックにモノを言わせて悟空を生身の人間のようにリアルに描いたバージョンなども作ってみたりしましたが、最終的には、現在のような漫画ともアニメとも異なる、本作ならではの描写に落ち着きました。ゲーム面でもバトルシステムはこれまでの究極型を目指しました。そして一つの命題でもあったオンラインでの対戦を両機種で実現することができました。
藤本: PS3とXbox360という次世代機、内容は大ボリュームで、ハイデフィニションの映像、そしてワールドワイドに向けた作品、といった大規模な開発の中で、内部的なミッションの1つとして掲げたのは「ゲームとアニメの融合」です。かんたんに言うと、ゲームで劇場版アニメ並みの「ドラゴンボール」に触れることができる、その中で実際に戦うことができるということです。アニメ自体はもう随分前に終わってしまいましたが、「今、作るならどんなものがよいか?」ということも意識しながらゲームを作っていきました。
―――ストーリーについて教えてください。
青木: 今回のストーリーの流れとしては、地球にサイヤ人が攻めてくる「サイヤ人編」と呼ばれているところから、セルや人造人間が出てくる「セル編」の悟空から悟飯への親子の世代交代という重要なシーンまでをストーリーラインとして凝縮しています。過去のタイトルの中ではPS2版『ドラゴンボールZ』に近い流れです。記憶に残る名セリフや印象的な名シーンが非常に多いストーリーラインですので、それらを我々は「ドラマ」と呼んでいますが、その制作にはかなりの神経を注ぎました。当時のアニメを見て研究して、これを現代の技術で作るとすればどうだろうということを常に考えて、こだわって作りました。
やはり開発中も原作を読むわけですが、そうすると開発がどうしても止まります(笑)。読み出すと、どっぷりとストーリーにのめりこんでしまう魅力があるわけです。悟空とフリーザの激闘のシーンは見るたびにグッとくるものがあって…。クリリンを殺された悟空の悔しさが伝わってきます。開発中は何度も原作を見ているので、改めてゲームとして作られたシーンを見ると、再び熱いものがこみ上げてきますね。
―――本当に「ドラゴンボール」が好きな人が集まっているという感じですね
青木: そうですね。私も含めて長いスタッフだと第一作目から今作までずっと付き合っているスタッフもいて、彼らも皆ドラゴンボールが大好きですね。当然、好きなキャラクターや好きなエピソードはそれぞれですが、皆が愛情を持って接しているというのが本当にいい結果に結びついていると思います。
藤本: ディンプスの場合、新しいスタッフが入ってくると、サイヤ人の血を輸血するという作業がありまして…(笑)。「ドラゴンボール」をみっちり体に叩き込みます。それは大抵1ヶ月くらいはかかるんです(笑)
青木: トランクスが持っている剣はタピオンの剣だとか、ナメック星に生えているのはアジッサという植物だとか、そういったところもかなり分からないと駄目という、ドラゴンボール風にいうと「戦闘力の高い」仕事なんです(笑)。
―――今回の『ドラゴンボールZ バーストリミット』で、前作から変わった点や工夫された点はありますか?
三戸:大きなところで言えば、バトル中にさまざまな条件によってドラマシーンが発生する「ドラマピース」システムがあります。「ドラマピース」には、原作を再現したドラマシーンもあればゲームだけのシチュエーションのものも存在します。また、発生することでバトルに影響する様々な効果をもたらします。このシステムは原作における、バトル中にも会話がどんどん発生するドラゴンボールZならではのバトルを再現するために今作に入れました。
―――次世代機となり、サウンドは5.1chに標準対応していると思いますが、どのような点に気をつけましたか?
加茂: 5.1chをふんだんに使うというよりも、どれだけサラウンドを意識させずにサラウンドを使うか、という部分に気を遣いました。主要な音は基本的にフロントから出すようにしており、音を分散させすぎず、ゲームに集中できるように配慮しました。また、環境音やBGMはサラウンドで、まるでプレイヤーがゲームの空間にいるような臨場感を演出しています。
■開発の形態について
―――今回の開発の規模はどのくらいだったのでしょうか?
藤本: 基本的には常駐スタッフというところで30〜40名いまして、ピーク時は色々な協力をいただきながら70〜80名、バンダイナムコゲームスさん側のスタッフも含めると100名規模くらいでしょうか。 構想から考えると3年半、企画としてまとまって三戸さんからGOがかかってから2年くらいです。
―――マルチプラットフォーム対応タイトルですが、どのように開発は進められたのですか?
藤本: 序盤はどうしてもXbox360の方が経験が長いので、Xbox360でまず作っていって、それをPS3で動かしていくという流れです。当然、それぞれのハードで、技術面やハード固有の規定の調整など、色々と手直ししなければならない部分がありました。
青木: 一番大きかったのはネットワークまわりですね。このあたりはハードの根本の部分でもありますし、調整1つでもそれぞれのハードできっちりやらなければならないので、ここは開発をPS3とXbox360とに完全に切り分けました。メッセージ表記などでもハードごとに異なる部分はありましたね。ムービーやイラストといったデザイナー作業の部分は同じリソースを使い省力化を心がけました。
■内部開発ライブラリと外部ミドルウェアの組み合わせ
―――非常に大きな規模で開発されて、世界同時発売となると、納期も厳しいですよね。社内のリソースに頼る部分とミドルウェアなどの社外リソースに頼る部分にしっかりと切り分けていく必要があると思いますが・・・。
藤本: おっしゃる通りです。綱渡りで完成したゲーム開発でしたが、ゲームプレイの核の部分は過去の開発で引き継いできたものも含めて自社内でやるという決定をしました。2つのハード対応という部分は、最初は自社で頑張ったのですが、なかなか苦戦したため、バンダイナムコゲームスさんの社内ライブラリを提供していただきました。まさに、その瞬間から2ハード同時開発というのが動き出したという印象でした。
内容も大ボリュームでしたから、音声や映像の点では最初からCRIさんの力を借りるしかないという前提で動いていました。
加茂: 実は2ハード同時開発というところで構想の段階からミドルウェアはCRIさんのものを使いたいという話をさせていただいていました。PS2の時代からADXを利用していましたし、CRIさんのミドルウェアを使うことに迷いはありませんでした。
■バンダイナムコゲームスの社内ライブラリが果たした役目
―――バンダイナムコゲームスさんの社内ライブラリはどのような設計思想で作られているものなのでしょうか?
冨澤: ハード毎の違いを意識せずに開発できるように作られたもので、PS2、Xbox、GCという3つのハードがあった2001年頃から歴史があります。元々、ナムコの中で使っていたものが、バンダイナムコゲームスとなったことで、今回のこういう縁となりました。
この社内ライブラリの設計思想として一つあるのは、現場のプログラマーにあまり干渉しないということです。今作でもグラフィックの根幹の部分にはこの社内ライブラリを利用していただいていますが、ゲームのフレームワークのような大枠の部分では、ディンプスさんがこれまで独自に培ってきた技術を使われたという形です。社内ライブラリと開発現場の技術を上手く線引きすることが重要だと思っています。
後藤: ミドルウェアによっては、開発のワークフロー自体をそのミドルウェアの色に染めないと使えないものもありますよね。「ゲームのフレームワークまで全てミドルウェアでやります」、となると今までの資産が使えなくなってしまいます。その点、バンダイナムコゲームスさんの社内ライブラリにしてもCRIさんのミドルウェアにしても、機能として独立して使える形になっているので非常に使いやすかったです。
■「ドラゴンボール」と共に歩んできたCRIWARE―7年&11作目は信頼の証
―――「ドラゴンボール」シリーズでは『ドラゴンボールZ Sparking!』を含めて11タイトルにADXを使っていただいていますが・・・。
三戸: 今はバンダイナムコゲームスという形になりましたが、「ドラゴンボール」はずっとバンダイが作ってきたタイトルで、バンダイは基本的に内製の開発ラインというのは無い会社なんです。ですので、色々なソフト会社さんと一緒に仕事をする機会が多くて、「Z」シリーズであればディンプスさん、「Sparking!」シリーズであればスパイクさんと一緒に作ってきました。その中で開発会社さんから「ADXを使いたい!」という強い要望をいただくことが多いですね。もちろん自社で努力すれば技術の蓄積にもなると思うのですが、それよりもADXやSofdecのような信頼できるミドルウェアを使った方が確実に効率的な開発ができると思っています。
三戸: また、「ドラゴンボール」をはじめとする当社のキャラクターもののタイトルに関してはスケジュールがきっちり立てられて進行しています。「ドラゴンボール」シリーズも年間に数種類のタイトルが出ますので、スケジュールを厳守するのが大原則です。そういう意味でも、効率的に作業が出来て工数も見えやすくなるので、ミドルウェアは積極的に取り入れることにしています。
藤本: ハードがどんどん進化し、複数のタスクを同時並行的に行わなければいけない、という時にADXの存在は大きいです。例えばBGMが鳴っているところにボイスが鳴って、そこに映像を出して、これらを同時に裏で処理する…、そういうとても大変な部分がファイルシステムとして集約されているような気がします。恐らく他のメーカーさんからもそういう複数の処理を同時にこなす「阿修羅的な」ソフトは出てくるのかもしれませんが、CRIさんのミドルウェアには一日の長があると思いますね。当社のようなデベロッパーはコンテンツ開発がメインとなりますので、重要な技術部分の開発負荷というのはどうしても重くなってしまいますからね。
―――ミドルウェアを利用して逆に不満に感じた点などはありますか?
加茂: 今回は「ドラマ」と呼ばれるシーンを400ほど作ったのですが、その一つ一つに音付けや音量調整をかけるのが非常に大変だったので、複数人で作業を分担しました。その際に、個々の開発環境をミドルウェアに合わせて同じものに揃える必要がありました。
青木: 次世代機は開発規模が大きくなってきていますから、たとえ、ツールを使ったとしても一人でできる作業には限界があります。今まさに作業をシェアすることや、環境に依存せず使えるといったことが求められてくるのではないでしょうか。更にシェアして作業した場合に問題として挙がることは、一人一人のクオリティの差ですね。そういう部分をコントロールできるツールやアプリケーションの必要性を感じています。また、機能的に向上するというよりは、ツールの使いやすさや手触りといったツール自体のユーザビリティの向上が今後求められてくると思います。
―――ツールやミドルウェアも一人で使う時代ではなくなってきているということですね。大規模開発のための作業のシェアリングを前提としたユーザビリティの確保を今後の課題として対応していきたいと思います
―――次に、具体的にCRIWAREをどの箇所に使われたのか教えてください。
藤本: 「Sofdec」はオープニングムービーとエンディングムービー、それからメニュー画面でのムービー再生に使っています。特にメニュー画面では、ムービーにα値(透過情報)を持たせて再生する「αムービー」という手法を使って、少し変わった演出をしています。ゲームをプレイされるときにぜひ注意深く見てもらいたいですね。
―――「ADX」と「CRI Audio」はどのように使われましたか?
加茂: 「ADX」はファイルシステムとして使いました。5.1chサラウンドを実現するためにも活用しています。また、SEやボイスデータの作成には「CRI Audio」を使っています。
―――「AISAC(※)」は使われたのでしょうか?
※AISAC・・・「CRI Audio」に搭載されている、ゲームプレイヤーの操作によってリアルタイムに変化するインタラクティブサウンドを実現するためのコンポーネント。
大島: 例えば、悟空などキャラによって変身した時に声が変わります。この部分に「AISAC」を利用しています。また、パンチを出す際のボイスに差を付けたりするためなどにも使っています。技が当たる「バシバシッ」というような音にもAISACによってわずかにランダムピッチや位置移動を設定することで、微妙な変化を付けています。これを人の手でやろうとすると大変ですが、「CRI Audio」で効果的な演出ができました。
AISACでバトルの臨場感をアップ
■「Clipper」で作った口パクはリアル過ぎて使えず!?
藤本: 実は「Clipper(※)」も使わせていただいたんです。
※Clipper…音声データを解析して、口の形状(口パターン)を自動的にデータ化するシステム
加茂: 元々の作品はご存知のようにアニメですから、「Clipper」を使ってリップシンクを行おうと思いましたが、音声解析の精度が良過ぎて、「Clipper」が出力したデータをリダクションする必要がありました。あまりにもリアルに口が動きすぎて、かえってアニメらしくない(笑)。精度を悪くしてくれというのも変なお願いですが…(笑)。
―――リダクションというと実際にはどのような作業を行ったのでしょうか?
加茂: 「Clipper」によって出力されたデータを上手く間引く作業です。例えば「あいうえお」というのを「あーうーお」にしてみたりといったことを行いました。
青木: これが写実的なモデルであれば全く問題はないのでしょうが、アニメ調のグラフィックでここまで動くとどうしても気持ち悪くなってしまいます(笑)。「Clipper」にアニメ的な表現をするためのオプションがあると、我々としては有り難いですね。どれだけ要望があるかどうか分からないですが。
後藤: もともと人の口じゃない人(?)もいますからね…サイバイマンとか(一同笑)。
■全世界でのオンライン対戦を実現した苦労
―――今回オンラインでの全世界対戦に対応されましたね
三戸: やはり「ドラゴンボール」という、全世界で人気のある稀有なシリーズですから、ぜひ実現したい部分でした。日本でも当然そうですがヨーロッパやアメリカでは、ともすると日本以上に人気がありますので。2つのハードで世界で同時期に発売というのは、非常に難しいことでした。アメリカで「ゴクー、ゴクー」と言っているファンと日本で「悟空」と言っているファン同士がオンラインで対決できるというのは、本当に夢のようなシチュエーションだと思います。
波間: デバッグも大変でしたね。日本と北米、日本と欧州、北米と欧州…という風に回線を用意してもらって、リアルタイムに「今変身した?」とか電話で会話しながら(笑)。時差があったのでそういうことを朝7時からやっていました。
■今後の抱負
―――今後挑戦してみたい企画や取り組みなどがあれば聞かせてください
三戸: 「ドラゴンボール」という作品は原作もアニメもずいぶん前に終了しています。それにも関わらず、日本でも欧米でも、新しいファンが増えています。10代も20代も30代も皆が「自分はドラゴンボール世代」と思っている稀な作品です。当然面白いエピソードは数限りなくありますので、それぞれの良さを活かしながらゲームにしていけたらと思っています。
藤本: 次世代機でのチャレンジということで非常に勉強になりました。とはいえ、作るだけで精一杯というところもありましたので、次回作では今回の経験を活かしながら、CRIさんとも更に密にやらせていきながら、もっともっと良いゲームを作っていけるように努力したいですね。今作はバトルゲームでしたが、それ以外のベクトルでも考え得る作品だと思っていますので、次世代機のポテンシャルを活かしてそれを表現することができればと思っています。
青木: 企画職の立場から言うと、『バーストリミット』でやり残したことは沢山あるのでそこに取り組んでいきたいと思っています。何か新しいことをやるためにはデザイナーやエンジニアに「できる」と言わせないといけないわけで、それを実現するためのミドルウェアやツールや環境が不可欠です。彼らが仕事をしやすくなれば、私としてもワガママが言いやすいので(笑)。そういった意味では、野望を叶える環境は整いつつあると感じています。
後藤:新しいゲーム性の部分では頑張っていきたいと思います。
加茂: やはり子供の寝顔しか見られない生活から脱却したいというのが一番ですね(笑)。とにかく時間をかければその分だけ素晴らしい物は作れると思うんです。ただ、時間は有限で、その意味でCRIさんのミドルウェアやツールは、目標のクオリティに最短距離で近づくために無くてはならない物だと思っています。単純作業に追われていると、その分だけクリエイティブな部分に割ける時間は減りますから。今後も色々な手助けを受けながら、面白いと思って貰えるものを提示し続けたいと思います。
大島: 省力化できる部分は省力化して、ちゃんと時間をかけなくてはいけない部分に時間をかけるような使い方ができればと思っています。
―――他のゲーム開発者の方に一言コメントをお願いします。
大島: このクオリティを超えられるものなら超えてみろ!ということで(笑)。
加茂: 大作主義、リアル主義が主流になっている中で、僕たちはそれとは少し変わった方向にパワーを入れて頑張ってみました。こういう方向もアリなのか、どういう受けとめ方をされるのか楽しみにしたいと思います。
後藤: ゲーム業界自体を盛り上げていきたいということですかね。ゲームの開発現場は今どこも大変になってきていると思います。お互いに任せられる部分は任せて、自分たちの強みを活かして、それぞれの役割をしっかり持っていけば絶対にいい物が出来ると思っています。広い視野で、別の会社だからとかではなくて、どんどん協力していくという姿勢が大事かなと思っています。
青木: 我々と同じように苦しんでいるチームは沢山あるはずだと思います。この先何年も同じ苦しみを毎度毎度続けていくのか、それとも開発体制に変化をつけていくのかということだと思います。辛いことに毎回コストを払うのは馬鹿らしいことなので、海外でも採用されている開発体制の手法などを参考にするという動きも広がればいいな、というのはあります。
藤本: 次世代機でリアルな表現ができるようになってきて、対象年齢が高いゲームが増えている中で、初めてと言ってもいいくらいの非常にカジュアルなゲームじゃないかと思っています。これがマーケットを広げるきっかけになって、他社さんもどんどんソフトを出してくれるようになれば、もっともっとマーケットも活性化していくと思うので、我々としても頑張ってアピールしていきたいと思います。
波間: マルチプラットフォームで全世界同時発売というのは大変でしたが、今後のゲーム業界では避けて通れない道だとも思います。辛いですけど、世界中のユーザーがほぼ同時に通信対戦ができるというのはとても魅力的なことでもありますので、恐れずチャレンジしていって欲しいですね。
三戸: 藤本さんも先ほど言われましたが、なかなかない毛色の違った作品になっていると思います。なので、キャラクターゲームということで敬遠せずに、ちょっとどんなもんだろうと遊んでみて欲しいですね。
冨澤: 社内ライブラリの開発担当として言わせていただきますと、当社は他社さんと違ってあまり社内技術の存在をアピールしてはいませんが、実はバンダイナムコゲームス、結構できるぞ、というものを実現していきたいと思っています(笑)。
―――最後にゲームを楽しみにしているユーザーさんに
大島: 今回のタイトルは物量も質も自信を持っています。音楽もボリュームを大きくして聴いてみて欲しいですし、声優さんにもとても頑張っていただいたので、ドラゴンボールらしさは表現できていると思います。存分に楽しんで貰いたいと思います。
加茂: 10歳に満たない子どもさんから30代まで、全てのドラゴンボール世代の方に一緒に楽しんで貰える作品になっているはずなので、ぜひ皆さん1枚と言わず、2枚3枚とお買い上げいただけるとありがたいかなと思います(笑)。
後藤: バトルの部分ですが、悟空は接近攻撃、クリリンは遠距離攻撃の頻度が高く、ギニューはピンチになるとボディチェンジ確率が急上昇する……といった、キャラクターの性格付けをかなり細かく設定しました。
がむしゃらにプレイしているだけだとなかなか気付きにくいかもしれませんが、細部までドラゴンボール好きがこだわって作った作品です。そういう部分も楽しんで貰えればと思います。
それから最高難易度にぜひ挑戦してみて欲しいですね。COMとの激闘の中で、オンライン対戦で勝つためのコツが閃くかも知れませんよ。
青木: 今回は色々と開発で大変だった点などを話しましたが、ドラゴンボールを楽しみたいと考えている全ての人の期待に応えようとした結果でもあります。プラットフォームはどちらでも構いませんので、たくさんの方々にぜひ楽しんで欲しいと思います。
藤本: タイトルの「バーストリミット」は「限界突破」という意味で、その精神で作ったゲームです。世界同時発売ですので、初めて本当の意味での「天下一武道会」が開かれると思います。ぜひ世界のプレイヤーと一緒になって遊んで欲しいですね。
波間: 非常に多くのスタッフで、かなり苦労して作ったゲームです。出来には自信がありますので、是非楽しんで下さい。
三戸: 今回はかなりの時間をかけた作品ですし、これまでの話から分かるように、かなりスタッフが熱を入れて作ったゲームです。ドラゴンボールのバトルやドラマを集約したものです。バトルに慣れない人はガチャプレイもできますし、プレイしていくと実は奥深い部分も体験することができると思います。ドラゴンボールという世界の中で、その世界を満喫しながら、ドラゴンボールらしい楽しくて熱いバトルができるように力を入れて作り、実現できたと思います。是非キャラクターになりきって楽しんで欲しいですね。
―――ありがとうございました!
株式会社CRI・ミドルウェア
http://www.cri-mw.co.jp/
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| 2008年6月30日 21時59分 (提供元 インサイド) |
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